マイクロパイル工法は、細径の鋼管を芯材とし、高強度グラウト材で地盤を補強する高支持力杭工法です。元々は欧州の歴史的建造物の修繕用に開発された技術で、その機動力から都市部の密集地や高架下など、重機進入が困難な現場で広く採用されています。
本ページでは、マイクロパイル工法の特徴やメリット、注意点を簡潔に解説します。現場の制約条件が厳しく、一般的な工法では対応が難しいケースでの検討材料としてお役立てください。
マイクロパイル工法は、直径300mm以下※の鋼管を配置し、セメントミルクを充填して周辺地盤と一体化させる小口径高支持力杭工法です。杭先端の抵抗だけでなく、周辺地盤との摩擦力によって支持力を確保する点が大きな特徴といえます。
ボーリングマシン等の小型機械で施工できるため、高さ制限のある場所や建物内部でも作業が可能です。ケーシングを使用しながら削孔するため、軟弱地盤から硬質な岩盤まで、さまざまな地質に対応できる柔軟性を備えています。
物理的制約の多い現場において、本工法は他にはない優位性を発揮します。以下では、マイクロパイル工法が選ばれる理由となる3つのメリットについて解説します。
大きな利点は圧倒的な省スペース施工が可能な点です。使用するマシンはコンパクトで、幅2メートル程度の搬入路があれば作業を開始できます。高架下などの「空頭制限」がある現場でも、短い鋼管を繋ぎながら施工することで、深い支持層まで杭を到達させられます。
本工法は優れた地盤適応能力を誇ります。一般的な杭では貫入が困難な玉石混じりの地層や岩盤であっても、専用のビットで削孔するため施工不能になるリスクが低いです。地盤との定着長を調整することで、複雑な地層でも支持力を発揮します。
回転しながら削孔を行うため、近隣環境への負荷が低いのも強みです。打撃工法のような激しい騒音や振動が発生せず、住宅街や病院近接地でもスムーズに施工できます。また、削孔径が小さいため発生する残土も少なく、処分費用の抑制に寄与します。
メリットが多い一方で、設計やコスト面で考慮すべき点もあります。採用前に以下の項目を確認しておきましょう。
工法の真価は、他工法が不可能な条件でも打てる点にあります。コストと施工性のバランスを考慮して検討してください。
マイクロパイル工法は、小型機械による機動力と確かな削孔能力を併せ持った難条件克服のための基礎工法です。環境負荷を抑えつつ、狭隘地や岩盤地盤といった厳しい条件下でも施工が可能です。現場の制約を正しく分析し、本工法の特性を活用してください。
鋼管杭工法の支持力や施工性は、工法によって大きく異なります。杭径や無排土対応の有無が、密集地での近隣沈下リスクや残土処分費の差に直結するため、工法選びが現場コストの分岐点です。
当メディアでは、建物規模・現場条件が異なる3工法を比較。自社の案件条件に合う工法を見つける参考にしてください。
鋼管杭と一口に言っても、戸建ての狭小地と超高荷重の大型施設とでは、求められる性能が全く異なります。ここでは、「建物の規模」と「立地条件」にフォーカスし、現場の課題をクリアするおすすめの工法を3つ厳選しました。
| 杭径レンジ | φ101.1〜457.2mm |
|---|---|
| 最大支持力 | 2,521kN(φ457.2mm) |
最大HU590の高強度鋼を採用※、鋳物一体成型の翼で溶接部の破断リスクを防ぎ大翼化。大翼の高い支持力で杭径を最大2サイズダウンでき、重機制約に縛られず密集地でも施工が可能です。
大きな翼の高い引抜き抵抗力により、浅い支持層でも十分な支持力を確保。深くまで杭を打ち込む必要がなく、回転貫入による無排土施工のため、近隣地盤への影響を抑えられます。
| 杭径レンジ | φ89.1〜165.2mm |
|---|---|
| 最大支持力 | 約217kN(φ165.2mm) |
φ89.1mmからの細径5サイズ展開で、戸建て等の地盤条件に合った杭を選定可能。先端支持・摩擦支持を地盤により使い分けることで、必要以上に杭を深くせず、杭長・コストを抑えます。
セメント不使用の回転貫入方式のため、将来の解体時には逆回転で撤去でき、産廃のない更地に復元可能。
施工も2t建柱車1台で完結し、狭い前面道路の現場にも対応します。
| 杭径レンジ | φ600〜1,200mm |
|---|---|
| 最大支持力 | 17,900kN(φ1,200mm) |
掘削液を使わない中掘り工法で、φ1,400mmの大口径鋼管杭を深度70mまで施工可能。支持層が深く他工法では届かない敷地でも、大型施設の重荷重を支える基礎を構築できます。
杭先端に最大φ2,400mmの根固め球根を築造し、先端支持力17,900kNを確保。高靭性鋼管が大地震時にも粘り強く変形するため、審査の厳しい重要施設のBCP要件にも対応します。